ブラック・スワン

アカデミー主演女優賞を獲得したナタリー・ポートマン主演の「ブラック・スワン」。
話題作とあって、日本でもかなりの人気を得た作品ですが、あまり深い内容を知らずにこのあいだ観ました。
そしてただ、圧倒されました。

物語は生真面目だけれども、それゆえに発展性に欠けるバレリーナであるナタリー演じる女性が、思い切ってつかんだチャンスで「白鳥の湖」の主役を得るものの、役を掴み取ることへ没頭するあまり、精神を瓦解させていく・・・というような筋立てです。

バレエへのひたむきな情熱が生み出す狂気、と一言でいえばそんなニュアンスの物語なのですが、くるりと白が黒に反転するようなイメージでその狂いを単純に描くのではなく、徐々に白を黒が侵蝕していく、というような、じわりじわりと揺さぶられてくる「異常」の描き方が、だんだんと沼に引きずられていくような感覚で、すごくじっとりと後を引くのです。血の赤の鮮やかさが、いつまでもあとに残りました。

そしてある意味このようなじわじわした恐怖、異常性の描き方はいわゆるジャパニーズホラー、日本的のように感じました。
それで余計親和性を感じて怖く感じたのかもしれません。

そしてそんな怖ろしさを存分に含ませつつも、物語の幹にあるのはバレエに取り組むバレリーナのストイックな生き様の描写です。
バレリーナ同士の確執、嫉妬、コーチへの恋慕など、複雑な人間模様が物語に深みを与えます。

それにしてもナタリー・ポートマンの鬼気せまる演じ方は迫力があり、平時はおとなしげな儚い少女であるのに、終盤の黒鳥を演じる姿はもう妖艶な悪女そのもので、すさまじさを感じました。

あの「レオン」の少女が・・・と思いつつ、その少女性を失ってはいないのです。
あくまで見た目にはその純粋な少女性を含みつつ、同時に、大人の女性の艶、色っぽさも出せているのが凄いと感じました。

物語は、やや官能的な描写に傾きすぎているように思いましたが…、白鳥の湖における白鳥と黒鳥の対比が必要だから、あえて、なのかもしれません。

とにかく、印象深い作品でした。

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