セデック・バレ

1930年、日本統治下の台湾で起こった先住民セデック族による抗日暴動事件を描いた全2部作で、2部とも2時間を超える歴史超大作映画です。日本では「霧社事件」と言われている実際にあった抗日事件を脚色したものです。

 当時、台湾の先住民族は漢民族と違い、狩猟や出草(首狩り)などをして生活しており、文明とは程遠いものでした。日本軍が統治し始めてからは、文明的に暮らすことを強制し、首狩りを禁止し、厳しい監視下においたため、耐えかねた先住民の一部が蜂起して、台湾中心部の山中で警察等の日本人の家族を含め、約140人を虐殺しました。その後、日本軍が鎮圧し、事件関係者は自殺したり逮捕されたりするのですが、戦後の蒋介石の統治下では日本に立ち向かった彼らは「英雄」として扱われていました。

 今や台湾と言えば、どこの国よりも親日国な印象がありますが、「抗日映画がヒットするなんて、やっぱり台湾も反日なんだな」と思ってこの映画を見始めました。しかし、この映画は、先住民族の野蛮性をリアルに描いたり、日本人の中でも先住民族と親しくなる人物が描かれたり、蜂起することに反対する者等を描くことによって、一方的に「日本人は悪」というイメージを与えないものになっています。「抗日映画だけど反日じゃない」と思わせる不思議な映画で、日本人としても見やすい映画です。

 先住民族が日本人虐殺を虐殺するシーンや、蜂起した者の妻子が自殺していく様などは衝撃的で、少々見づらいと思われる方もいるかもしれませんが、先住民族の暮らしの中には慎ましさと自然への愛情があって、女性達の男たちを思う歌などが心にしみると思います。残虐なシーンも、彼らは独特の死生観を持っていて、「死、イコール終わり」ではなく、人の首を狩ってそして自分も死ぬことで「虹の橋を渡れる、そこには、先に死んでいった者たちが待っていてみんなに会える」と思っているため、首を狩ることも、自分が死ぬことも苦しいことではないのだと思うと、理解はできないかもしれませんが納得はできると思います。

 当時の日本人は、良かれと思って台湾の先住民族を文明化しようとしたのだと思いますが、どんな思想や文化にも、善悪や優劣はなく、尊重していくことで互いを理解しなければ人間同士は理解しあえないのだと思いました。

関連記事

アマデウス

映画「アマデウス」 この作品は、誰もが耳にしたことがあるクラシック曲を生み出した天才作曲家ウォルフ

記事を読む

永遠の0

愚直なまでに生きることを望み、最後まで家族の元へ生きて帰ると決心していたはずの、特攻隊員が、最後の最

記事を読む

るろうに剣心 京都大火編 伝説の最期編

昔、見ていたアニメだったので、どういう映画になるのか興味もあり、主役が

僕のピアノコンチェルト

僕のピアノコンツェルトは名作です。 映画の内容に合わせ、主演の男の子

劇場版「進撃の巨人」前編~紅蓮の弓矢~

テレビアニメ進撃の巨人を再編集した劇場版の前編です。 内容を説明する

宇宙人ポール

題名からも分かる通り、エイリアンが出てくる映画なのですが、かなり秀逸な

ロマンシング・ストーン 秘宝の谷

この映画は恋愛アドベンチャーです。冒険物を書く女流作家が、誘拐された姉

→もっと見る

PAGE TOP ↑